(2026年7月:訳者注)この記事では、P5 Data Moverによるアーカイブデータの取り扱いを中心に取り上げています。今現在ではP5 Data MoverはP5 Archive DLMに置き換わりました。しかし、機能的には類似点が多く、アーカイブデータの移行や複製といったところに対する概念は相違がないことから、本記事を掲載することとします。
2022年6月のスポットライト記事「メディアアーカイブにおけるLTOとクラウドストレージのコスト比較」では、メディアアーカイブのストレージコストを包括的に比較し、コストと利便性における興味深く、場合によっては懸念すべき違いを明らかにしました。今回のスポットライト記事では、異なる種類のストレージ間でアーカイブデータを移行するプロセスについて見ていきます。これは、P5をご利用のお客様の間でますます一般的になりつつあります。これは、P5 Archiveを使用して既にアーカイブデータを保存しているお客様向けに、このようなワークフローを可能にするツールであるArchiwareの
P5 Data Moverのリリースと時期を同じくしています。
「メディアアーカイブ」という概念は、より広範なITストレージ環境においてやや特殊な位置づけにあります。こうしたアーカイブは数十年にわたって存在し続ける必要があり、将来的に歴史的遺物となる可能性のあるものを保存する責任を負っています。それは、古いフィルムリールがぎっしり詰まった保管室のデジタル版と言えるでしょう。アーカイブがデータの受信を開始するとすぐに、そのデータを長期的に保存するための計画を立てなければなりません。通常、これにはLTOテープハードウェアの購入、あるいは商用ストレージベンダーからのクラウドストレージの提供が含まれます。しかし、時間が経つにつれて、アーカイブ内のデータ自体が使用するストレージメディアよりも重要であることに気づき、将来にわたってデータを最適に保存するためには、何らかの移行が必要になる場合もあります。
移行が必要となる理由は数多く存在するかもしれません:
- LTOテープやLTOドライブ/ハードウェアの老朽化による寿命の限界
- クラウド・ストレージ・ベンダーのコストが、アーカイブに追加されるデータの増加に伴って高くなり、より魅力的な価格のベンダーがビジネスを争っている
- アーカイブに必要なLTOテープの数が管理不能に
- オンプレミス・アーカイブからクラウドベースへの移行を希望
これらについてもう少し詳しく見てみましょう:
LTO世代間の移行
LTOテープ1本の容量は2~3年ごとに大幅に増加しています。以下の表は、過去11年間のLTO5世代をまとめたものです。LTO-10は2023年末頃にリリース予定で、容量は27~36TBです。メディアファイルは既に圧縮されていることが多く、LTOドライブのハードウェアによるさらなる圧縮の恩恵を受けないため、ここでは「非圧縮」容量のみを取り上げています。
| LTO世代 | リリース年 | 非圧縮時容量(TB) | LTO9との「比率」 |
| LTO-5 | 2010 | 1.5 | 12 |
| LTO-6 | 2012 | 2.5 | 7.2 |
| LTO-7 | 2015 | 6 | 3 |
| LTO-8 | 2017 | 12 | 2 |
| LTO-9 | 2021 | 18 | 1 |
表の「比率」列は、各世代のテープが1本のLTO-9テープに収まる数を示しています。LTOカートリッジメーカーは通常、テープは15~30年のアーカイブ保管用に設計されていると述べています。
典型的なトレードオフがあります。古いLTOテープにデータを残しておくと、古くて信頼性の低いハードウェアと、寿命が近づいている可能性のある大量のテープが残ってしまうことになります。テープとハードウェアをアップグレードすれば、保存容量あたりのコスト削減など、いくつかのメリットがありますが、時間とコストがかかるため、簡単に1年先延ばしにされてしまいます。
クラウドベンダー間の移行
LTOテープに比べて、クラウド・オブジェクト・ストレージの市場はやや乱立しており、複雑です。複雑である原因は、以下のような要素が月々の請求額に影響する料金体系にあります:
- 保存されるデータのTB(すべてのベンダーがこのコスト指標から始めている)
- オブジェクトごとの最低保持期間/最低月額料金
- オブジェクトが取り出されるまでの待ち時間
- 異なるロケーション間でのデータのレプリケーション
- データ入出力のための従量制アップロード/ダウンロード・コスト
- APIコールコスト(オブジェクトの追加/削除/リストアップ)
シンプルな料金体系を採用している業者は、上記の項目のうち最初の2つのみに料金を請求する可能性があり、より複雑な料金体系を採用している業者は、それらすべてに基づいて料金を請求する可能性があります。そのため、費用を予測するのは複雑になる場合があります。
さらに、アーカイブにデータが追加されるたびに、クラウドストレージの料金は毎月上昇します。アーカイブ内のすべてのデータは、毎月繰り返し料金が発生するため、長期的には驚くほど高額になる可能性があります。
クラウドベンダー間の移行は、LTOテープの場合と比べて、ハードウェアの購入、廃棄、設定が不要なため、比較的容易です。ただし、アーカイブを作成するソフトウェアツールは、データの一括移行を可能にすると同時に、アーカイブされた資産への一貫したアクセスを提供する必要があります。
ハイブリッド・マイグレーション(階層化)
ここからが興味深いところです。アーカイブ用LTOストレージとクラウドストレージの長所と短所を比較した場合、両方の組み合わせが好ましいと判断するかもしれません。
最初のアーカイブ段階ではオンプレミスのLTOハードウェアを使用し、最近保存したメディアに素早くアクセスできるようにし、1年後、メディアファイルのリカバリーが必要でなくなったら、このアーカイブデータをクラウドストレージに移行するといった形です。
このようなハイブリッド・アプローチでは、ファイルを一度アーカイブし、1年経過後にアーカイブ・ソフトウェア・プラットフォームがクラウド・ストレージへのデータ移行を行うというワークフローを構成する必要があります。
このアプローチには、オンプレミスに保管されている何百本もの古くなったテープが蓄積されないという利点があり、LTOには1年分のデータしか保管されません。
そのため、複雑な作業は避けられ、新しいLTO世代への移行もよりシンプルになります。
結論
このように複雑なストレージ環境では、アーカイブのワークフローに柔軟性を持たせることが不可欠です。テクノロジーと価格設定は、間違いなく将来さらに変化していくでしょう。
おそらくは経済的な圧力や世界的な変化により、今後あらゆるタイプのストレージがより高価になります。機敏に動けることは、大きな価値があります。
P5アーカイブのエコシステムで作業されている方は、本記事で取り上げたすべてを容易にするよう設計されたP5 Data Moverを検討してみてはいかがでしょうか。

